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―Science誌が注目論文として紹介― 強い日差しに対応して葉がその厚さを変える仕組みを解明

著者:Rina Hoshino, Yuki Yoshida, Hirokazu Tsukaya

タイトル:Multiple steps of leaf thickening during sun‐leaf formation in Arabidopsis

掲載誌:The Plant Journal

掲載日: 2019年7月26日オンライン版に掲載

URL: https://doi.org/10.1111/tpj.14467

 

塚谷班代表の塚谷裕一教授(東京大学大学院理学系研究科)らの研究グループは、強い日差しに対して植物が葉の中の構造を変えて適応する仕組みを明らかにしました.植物の葉は太陽の光を吸収して光合成を行いますが、強い日差しの中と弱い日差しの中では光の吸収に適した葉の厚さが異なります.そのため、植物は光の強度に合わせて葉の厚さを変化させます.

 研究グループはモデル植物であるシロイヌナズナを使い、葉の厚さが決まる過程の解明に取り組みました.独自の顕微鏡技術を巧に用いて、初期の小さな葉の構造を時系列に沿って詳細に観察することに成功しました.その結果、強い日差しの中では葉の細胞が葉の厚さ方向に伸び、それらの細胞が二層に分裂することで葉の厚さが増すことが分かりました.この過程は青い光の成分で促進されていました.葉の成長の後半では、光の強さに関わりなく葉に供給される糖の量に応じて細胞が肥大して葉の厚さが増すことが判明しました.

 植物種によっては光の強さに応じて葉の厚さを調節することが得意なものと、そうでないものがあります.今後、葉の厚さを調節する仕組みがさらに正確に分かってくれば、環境保護の方策、ひいては作物の管理にも役立つと期待されます.

 

詳細は東京大学のプレスリリースをご覧ください.

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00017.html

 

この成果はScience誌で注目論文として紹介されました.

Editors’ Choice “Light tuning of leaf size”
Science, vol. 366, issue 6461, pp. 69(2019年10月4日掲載)