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多くの生物の核を明るく輝かせる~蛍光色素Kakshine(カクシャイン)を開発~

著者:Kakishi Uno, Nagisa Sugimoto, Yoshikatsu Sato (宇野何岸、杉本渚、佐藤良勝)

タイトル:N-aryl pyrido cyanine derivatives are nuclear and organelle DNA markers for two-photon and super-resolution imaging

雑誌名:Nature Communications

掲載日:2021年5月11日

URL:https://www.nature.com/articles/s41467-021-23019-w

 

佐藤班の佐藤良勝特任准教授(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所WPI-ITbM)の研究グループは、多くの生物種で利用可能なDNA染色蛍光色素(Kakshine、カクンシャイン)を開発しました。DNAは生物の体の設計図と言われ、子孫に受け継がれる遺伝情報の本体です。真核生物において、DNAは細胞内の核に存在するほか、 細胞小器官(オルガネラ)のミトコンドリアと葉緑体にも独自のDNAが存在します。一方、生命科学分野では、DNAを蛍光検出する試薬は電気泳動、PCRなど日常的な分子生物学的技術として使用されるほか、細胞周期における染色体動態や細胞小器官の複製などの、ライブイメージング解析においても欠かせない技術になっています。DNA染色蛍光色素に求められる性質として、「高いDNA選択性があること」、「光毒性の少ない可視光を利用できること」、「適用できる生物種が広いこと」などが挙られます。しかし、これまでこれらの性質すべてを満たす色素はありませんでした。研究グループが開発したDNA染色蛍光色素(Kakshine、カクシャイン)はこれら3つの性質を満たすことに加え、「二光子励起顕微鏡注1)による深部イメージングが適用可能であること 」、「核内のDNAおよびオルガネラのDNAの超解像STEDライブイメージングに適用できること」がわかりました。今後、生命科学分野の様々な研究への応用や先端顕微鏡技術の普及への貢献が期待できます。

 

詳細は名古屋大学のプレスリリースをご覧ください.

https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20210512_itbm.pdf