研究成果Research Highlights

植物の精子形成におけるオートファジーの役割を解明

著者: Takuya Norizuki, Naoki Minamino, Miyuki Sato, Hirokazu Tsukaya, and Takashi Ueda

タイトル:Dynamic rearrangement and autophagic degradation of mitochondria during spermiogenesis in the liverwort Marchantia polymorpha

掲載誌:Cell Reports

掲載日: 2022年6月14日 米国東部時間午前11時

URL: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2022.110975

上田班の上田貴志教授(基礎生物学研究所)らのグループは、塚谷班の塚谷裕一教授(東京大学)と共同で苔類ゼニゴケの精子変態の過程を調べることで、精子変態の初期にミトコンドリアが分裂とそれに続くオートファジー(自食作用)による分解を受けて一旦1個まで数を減らし、その後分裂によって2個になることを発見しました。そのオートファジーはミトコンドリア以外のオルガネラや細胞質の分解にも関わっていましたが、ミトコンドリアは他のオルガネラとまとめて分解されるのではなく、異なる時期に別の制御を受けて分解されることも分かりました。哺乳類などの動物の精子変態過程では、不要なオルガネラや細胞質は、隣接する細胞が取りこんで分解することで除去されます。しかし細胞壁に囲まれた植物細胞では、動物と同じような方法で精子変態を行うことはできません。本研究により、コケ植物の精子変態におけるオルガネラ再編成のユニークな仕組みが明らかになりました。

fig2.jpg図:コケ植物の精子変態過程におけるミトコンドリアの変化の模式図

詳細は基礎生物学研究所のHPをご覧ください。

https://www.nibb.ac.jp/press/2022/06/15.html