領域概要Project Outline

植物は一生を通じて組織や器官を作りながら成長を続けます。このような発生プロセスに起因して、植物のあらゆるスケールには周期的な繰り返し構造が現れます。植物の発生を理解するには、その基軸となっている周期形態の形成機構を明らかにする必要があります。また、植物の周期形態の特筆すべき点は、その周期性自体が容易に変調することです。このような「周期の変調」は、種に固有の形態や、環境条件に応答した成長可塑性を与えます。

生物が周期構造を作る原理としては、動物の体節構造や体表の模様が作られる系が詳しく研究されています。植物が周期形態を作る機構についても、根の分岐や葉のつき方の規則性とホルモン応答の時間的あるいは空間的なパターンの間に相関性が見られることが知られています。しかし周期を生み出す振動子や、周期を変調させる機構については、理論的な予測にとどまっているのが現状です。

本新学術領域では、植物が周期形態を作るメカニズムとその意義を、植物発生学、情報学、理論生物学の緊密な連携を通じて明らかにします。植物発生学者は、イメージングや遺伝学を駆使して周期動態を観察し、制御因子を探索します。理論生物学者は周期性の数理解析とモデリングを担当し、また情報学者はコンピュータビジョン、機械学習、拡張現実感、人間拡張工学などを駆使して、生物学者の発見とデータの解釈を支援する技術を開発します。

本領域では、総括班の研究支援グループが、各研究班の細胞動態観察、一細胞トランスクリプトーム、情報処理、理論モデルの構築をサポートします。これらの支援は総括班による研究班の技術補完にとどまらず、新たな技術の共同開発を目指した双方向の連携を指向しています。このため、計画班と公募班の両者において、情報学者や理論生物学者による解析技術の開発を推進し、得られた技術を領域内で共有することで、研究課題の推進を加速させます。このような融合研究を円滑に進めるためには、まずそれぞれの学問分野がもつ「文化」を相互に理解し尊重することが重要です。異分野研究者と協働を通じて新たな課題や解決手段を発見できる人材の育成も、本領域で行う重要な活動の1つです。

総括班

  • 研究代表者
    中島 敬二 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授
  • 研究分担者
    稲見 昌彦 東京大学 先端科学技術研究センター 教授
  • 研究分担者
    上田 貴志 基礎生物学研究所 細胞動態研究部門 教授
  • 研究分担者
    植田 美那子 名古屋大学 理学研究科 (WPI) 特任講師
  • 研究分担者
    遠藤 求 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授
  • 研究分担者
    小田 祥久 国立遺伝学研究所 遺伝形質研究系 教授
  • 研究分担者
    河内 孝之 京都大学 大学院生命科学研究科 教授
  • 研究分担者
    近藤 洋平 自然科学研究機構 生命創成探究センター 助教
  • 研究分担者
    塚谷 裕一 東京大学 大学院理学系研究科 教授
  • 研究分担者
    深城 英弘 神戸大学 大学院理学研究科 教授
  • 研究分担者
    望月 敦史 京都大学ウイルス・再生医科学研究所 教授

領域アドバイザー

武田 洋幸 東京大学 大学院理学系研究科 教授
内藤 哲 北海道大学 大学院農学研究院/大学院生命科学院 教授
中野 明彦 理化学研究所 光量子工学研究センター 副センター長
東山 哲也 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所
東京大学 大学院理学系研究科 教授
廣瀬 通孝 東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授
福田 裕穂 東京大学 理事・副学長
本多 久夫 神戸大学 大学院医学研究科 客員教授