ヤブカラシの花色は3度変わる
塚谷班の塚谷 裕一 教授(東京大学大学院理学系研究科)は、世界で類を見ない、3度も色が変わる花色の周期的変化を発見し、そのメカニズムの一端を明らかにしました。
身近な桜でも開花直後は白っぽく、そして後にピンクが濃くなります。こうした花色の不可逆的変化は数多くの植物で見られ、これは花粉を媒介する昆虫に対して、どの色の花を訪れると効率よく蜜を集められるかを示す「正直なシグナル」として進化したと考えられてきました。
ところが日本で身近なヤブカラシの花の経時観察から、これまで類を見ない、3度も周期的に色が変わる現象を発見しました。しかもその花色は、性成熟したタイミングと同調して変化していました。そしてこの花色変化は、カロテノイドの含量の増減によるものでした。カロテノイドの量が周期的に増減する植物組織は、これまで知られていません。
今後、このメカニズム解明が進むことで、重要な栄養源のカロテノイドの生合成量を自由にコントロールできるようになるかもしれません。また花の色の「正直なサービス」がどのように進化してきたかの理解も進むと思われます。

図1. ヤブカラシの花色の変化 花の縦断面で示す。左から開花直後のオスの段階、雄しべが脱離した第一休止段階、雌しべが新調したメスの段階、そして雌しべも老化した最終段階。オスの段階とメスの段階だけオレンジ色を示し、他の段階ではピンク色をしている。花の中心にある柱状のものが雌しべ。
詳細は東京大学のプレスリリースをご覧ください。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/8170/