- プレスリリース
植物の”水道”の形成を制御するタンパク質の機能を明らかに ~細胞壁形成の制御機構の解明へ大きな前進~
小田班の小田 祥久 教授 (名古屋大学大学院理学研究科)、総括班の近藤 洋平 助教 (生命創生探求センター)らは、植物の水の輸送路である道管の形成に必要な新たな機構を明らかにしました。同研究グループは、シロイヌナズナの道管においてMIDD1タンパク質が液―液相分離を介して凝集体を形成し、細胞壁形成の足場となる微小管を分解する機能をもつことを突き止めました。このMIDD1タンパク質の機能が細胞壁の形成を局所的に抑制することで、道管の水の輸送路を確保していることを明らかにしました。この知見は植物の細胞壁形成の制御機構の理解を飛躍的に深めるものです。植物の細胞を覆う細胞壁は、細胞の形の制御、水分・養分の輸送経路の確保など多様な機能を担います。細胞壁形成の適切な制御は植物細胞が機能を発揮する上で重要です。本研究の知見は、細胞壁形成を人為的に制御し、植物の形態や硬さを制御する新技術につながることが期待されます。また、本研究で明らかとなった液―液相分離を介して微小管を分解する機構は、真核生物に共通して存在する微小管の制御機構の解明に大きく貢献すると考えられます。